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ムクツナ・ヒバツナ・ドクツナの小説中心/BLが苦手の方はご注意ください


by kazekirin

ツナ誕生日小説2008第三弾

コツコツ、カリカリ。
夜、お風呂から上がり、あとは寝るだけとなったツナが漫画などを読んで残った自分の誕生日を過ごしていたのだが。
「?何の音だろ・・・?」
窓から聞こえてきた不思議な音に首を傾げながらカーテンを開ける。
「・・・ムクロウ・・・」
そこにいたのは一匹の白いフクロウ・・・六道骸の愛用ボックス兵器と化した可哀想な生き物
だった。さっきの音はクチバシと爪で窓を叩いていた音らしい。
丸いフォルムに可愛らしい仕種は確かに心癒されるものがあるが(あの最恐風紀委員長でさえ
殴るのを躊躇うほどである)、黒いはずの大きな円らな瞳のうち、右目は禍々しい程の真紅に
染まっており、骸に憑依されている証である"六"の数字が写っている。
「ムクロウ、何の用?」
ツナは骸とムクロウを別物として扱う。骸自身ムクロウになっている時は妙なテンションで、甘え
たがりになるのだ。
「くふふん。キミの誕生日をわざわざ祝いに来てあげたのですよ。この僕、六道骸がね。クフッ
フーw」
右の翼をバサバサさせながら胸を張るムクロウ。人に姿でやられたら温厚なツナも絶対零度
の鉄拳を喰らわせる所なのだが、愛らしいフクロウを氷漬けにするわけにはいかない。ツナは
ぐっと我慢した。立派だ。
「という訳で今から遊びに行きましょう。チョコレートバイキングなんかどうですか?勿論僕の
奢りですよ、クッフ~ww」
「それお前が行きたいだけだろ」
顔を(フクロウの姿なのに)紅潮させたフクロウはチョコレートが大好きなのだ。
「いいじゃないですか。キミも好きでしょう?キミ自身そんな甘い性格なんですから」
どんな理屈だ。
骸との会話は獄寺並にツナの精神を疲労させる。
「どっちにしろ駄目だよ。もう遅いし、眠たいし。明日も学校なんだから」
「なっ!それでもマフィアのボスですか!自分の誕生日くらい徹夜で遊び倒す気概がなくて
どうするんですか!!」
「そんな事したら家庭教師と風紀委員長に殺されるよ」
比喩ではなくマジである。
ひょい、と小さな(普通のフクロウよりは丸く重いが)体を持ち上げ、ツナはベッドへ向かう。
「オレの誕生日祝ってくれるんなら抱き枕になってよ。この時期は薄着したら寒いし、厚着したら
暑いしで困るんだよね」
マフィア殺しを湯たんぽ代わりに使おうとするのはツナだけであろう。
「なっ!?ぼ、僕と同衾しようなんて、な、なんてキミはハレンチなんでしょうねえ!?」
ムクロウが発する人聞きの悪い言葉を右から左に受け流し、「お休みムクロウ」とそのまま目を
閉じる黄金の大空。
すぐに、すやすやと安らかな寝息を立てるツナとは反対に、ムクロウは青と赤の円らな瞳を
見開いたまま懊悩の夜を過ごしたのだった。


次の日。
「そーいえば何でムクロウで来たの?いつもはクロームの体を借りて実体化してくるのに」
「クフ、クロームが並中の制服という意外性のある恰好をしていたのにヒントを得まして。人と
いうのは普段と違う姿をした相手に、ふいにドキッとするものでしょう?クフクフ~ww」
そういって胸を膨らませるムクロウの体より白い目を彼に向けていたツナだったが、その言葉
を否定しようとはしなかった。
何だかんだ言っても、ムクロウの姿でいるときは骸はツナに昨夜自身が言っていた『ハレンチ』
な真似はしてこない(というか出来ない)のだ。
大抵のことは受け入れられるツナも、流石にフクロウに襲われるなんて事態には陥りたくなかっ
た。
by kazekirin | 2008-10-14 02:23 | ムクツナ